連載#1 Webサイト構築を始めるときに心がけるべきポイント

Webサイトを新たに構築するとき、リニューアルするとき、どういった手順で進めているでしょうか? サイトの企画・運営・管理を専任でご担当されている方ならまだしも、兼任で日々の更新管理だけを行っている方やサイトリニューアルのプロジェクトに新たに配属された方は「どこから手をつけていいか分からない」といったお悩みをお持ちではないでしょうか? 本記事は「サイトを作る前にやるべきこと」と題して、サイト構築・リニューアルの初期フェーズの進め方をご紹介します。

連載#1 Webサイト構築を始めるときに心がけるべきポイント

正しい「Webサイトの構築フロー」とは?

いきなりですが、質問です。
みなさんはサイト構築フローを何も見ずに思い浮かべることができますか?

一般的には「Webサイトの構築フロー」として、以下のようなフローを考える人が多いのではないでしょうか。

  1. 要件定義
  2. スケジュール作成
  3. 画面設計
  4. デザイン作成
  5. htmlコーディング
  6. 公開

システムを実装する場合は、このほかにもシステム要件定義、システム設計、実装、テストなどの工程が入ったりもしますね。

このフローは間違ってはいませんが、大切な工程がすっぽり抜けています。
それは「何のためにサイトを作るのか」ということ。

この記事を読んでいただいている方のほとんどは、業務でサイト構築に携わっていると思います。

業務ということは、何らかのビジネス成果が求められます。「何のためにサイトを作るのか」を不明瞭のまま進めてしまうと、膨大な労力と予算をかけたにもかかわらず「きれいなサイトはでき上ったけれども期待していた成果が得られなかった……」ということが起こり得ます。

先ほどのフローの最初に挙げた「①要件定義」は作るべきものがある程度見えていて、具現化するために必要な要件を洗い出す工程であり「何のためにサイトを作るのか」は、それよりも前の工程に位置します。

要件定義の前にやるべき3つのこと

要件定義する前の工程でやるべきことは大きく3つあります。

  1. サイトの目的、獲得すべき成果を明確にすること
  2. 現状がどのような状態か把握すること
  3. 目的を果たすため、成果を得るための戦略

今回は「サイトの目的、獲得すべき成果を明確にすること」を中心にお話ししますが、少しだけ全体に触れておきます。

サイトの目的、獲得すべき成果を明確にすること

目的や成果を明確にすることは、すべてのスタートになります。これを定めないと、どんなサイトを構築すればよいか考えることができません。またプロジェクトに関わる人が同じゴールに向かえるので、建設的な議論にもつながります。

現状がどのような状態か把握すること

現状を把握することで、いまの立ち位置を知り、目的地までの道のりをイメージすることができます。高い山に登るときに麓から行くのか、五合目から行くのかによって、計画が変わりますよね。もしかしたら装備も変わるかも知れません。それと同じように現在地からゴールまでをイメージして、越えなければいけない障壁を知ることが必要です。

目的を果たすため、成果を得るための戦略

最後に戦略策定です。ゴールが見え、現在地も立ちはだかる壁も把握しています。戦略はどうすれば目的を達成できるか考えることです。誰に何をどのように伝えると、どんな体験をしてもらうと目的を達成でき、成果が得られるのかを考えて、形にしていきます。

サイトの目的、果たすべき成果を明確にすること

プロジェクトの起点になる重要なポイントですが、意外とおざなりにされてしまうことが多い工程です。なぜおざなりになるかというと、あらためて考えなくてもある程度の共通認識ができている場合が多いからです。

例えば……「サイトを作るのであれば、たくさんの人に来てもらいたい」「商品を販売しているのであれば、たくさん買ってもらいたい」「事業紹介であれば、問い合わせを獲得したい」

これらは、どれも目的や成果になり得るものです。深く詰めて考えなくても大きく外すこともなさそうです。そのため、議論をせずに不動の前提として捉えられることが多くなりがちで、議論を割愛しがちなのです。

しかし、最も大切なことは「サイトの位置づけ」です。どんなサイトであっても単独で存在することはあり得ません。企業全体において、特定の事業において、サイトは特定の役割を果たすために存在します。つまり、サイトは上位にあるものの構成要素ですので、サイトの成果は上位にあるものに貢献しなければなりません。

経営戦略→事業戦略→機能別戦略の階層整理と上位概念に基づいた目的整理を行うことでしっかりした軸ができます。なんとなく合意したものとは似て非なるものです。

経営戦略とその達成目標がベースとなります。事業戦略は、その一部分を構成し獲得した成果は経営戦略の達成目標に貢献するものになります。さらに事業戦略および達成目標を得るために機能別戦略を立てます。サイトはこの機能別戦略にあたります。サイトで得られる成果は、事業目標の達成に貢献しなければなりません。

先ほど例示した「サイトにたくさんの人に来てもらいたい」はサイトの成果になるでしょうか?おそらく難しいでしょう。

事業目標は、市場のシェアを〇%獲得することであったり、販売数や売り上げかも知れません。

サイトに人が来ることはKPI(Key Performance Indicator/重要業績評価指標)になっても、サイトの目標にはなり得にくいものだと言えます。たとえばECサイトへの送客数や購入予約など、もう一歩先にある成果があると目標達成のロジックはつながりやすくなると考えられます。

一方、具体的な成果を設定しにくいサイトもあります。たとえばコーポレートサイトがそうです。コーポレートサイトは、企業に関心を持った人に情報を提供することが大きな役割です。その場合には、具体的な成果を設定せずに、何のためにサイトに訪問してくれるのか、ユーザーの目的を果たすために何をすべきか、企業としてコミュニケーションしたいことは何か、どんな印象を持ってもらいたいかなどを検討して、あるべき姿を模索します。印象は主観的なものですので人によって異なりますが、あるべき姿として軸を設けることで、一貫性のある訴求や体系だった情報設計をすることができます。分かりやすい数値などで目標が設定しにくい場合は、別の切り口で検討することもできます。

おわりに

サイト構築をする前にすべきことの第一歩として、サイト目的と獲得すべき成果を定める必要性を紹介させてもらいました。ご紹介した整理が、皆さまの業務に役立つと幸いです。

最後にひとつアドバイスをさせてください。
この整理に取り組まれる方は、頭だけで考えるのではなく何か資料にまとめることができるとよいと思います。

資料にまとめる作業は、全体を俯瞰して見ることができ、ロジックフローに矛盾がないか確認できるので、おすすめです。また、ひとりで考えると偏ったものになりがちですので、他部署の方に声をかけたり、広い視点で組織や事業を見ている上長などに相談するのもよい方法です。もちろん弊社でもご相談に応じますので、ぜひお声がけください。

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